"マスカレード"

 

今宵は仮面舞踏会。

人々は顔も身分も隠して一期一会の出逢いを楽しみにやって来る。

 

日暮れを見計らってマリー姫は城をそっと抜け出した。

仮面舞踏会に行く事を許さない父と母に内緒で参加するためだ。

強硬手段に出たマリーだったが途中で道に迷ってしまう。

困り果てたマリーの前に、見知らぬ馬車がやって来た。

馬車には、黒い仮面を付けた男が乗っており、仮装したマリーを見て声をかけた。

「あなたも舞踏会に行くのですか?良ければお送りいたしましょうか?」

歩き疲れたマリーにとって、男の申し入れはとてもありがたかったが、

「舞踏会場はもうすぐそこでしょう?音楽が聞こえます。私は歩いていきますから、おかまいなく。」

と断ってしまう。

すると男は

「女性の足では夜が明けてしまいますよ。」

と言った。

それでも歩こうとしたマリーだが、小石につまずき転んでしまう。

「ほら、足は正直だ。」

と仮面の男は笑い、マリーを馬車に乗せて走りだした。

会場に着いたマリーはその雰囲気に驚いた。

不思議な熱気に包まれ、煌びやかな衣装と怪しい仮面を纏った男女が

溢れる音楽に合わせて踊っていた。

圧倒されているマリーに仮面の男は

「私と踊りましょう。」

と言って手を握り、人でごった返す会場を流れるように踊っていった。

マリーの心臓は外に聞こえそうな程どくどくと鳴っていたが、

男に気付かれまいとしてつい強気な事を言ってしまう。

「ずいぶん慣れ慣れしいのね。」

しかし男に

「あなたを放っておけないんですよ。お転婆だから。」

と言われるとマリーはカッとなって、男の腕を振り払ってしまう。

マリーの腕は男の頬を叩き、その衝撃で男がつけていた耳飾りが落ちてしまった。

「あっ!申し訳ありません。」

と我に返ったマリーはすぐに謝った。

すると男は

「私がしつこかったようですね。こちらこそ申し訳ありませんでした。」

と言って去ってしまった。

マリーは男が落とした黒い宝石の耳飾りをひろいあげ、急いで後を追いかけた。

しかし一度はぐれた仮面の男を見つける事は容易ではなかった。

マリーは人ごみの中をくたくたになるまで捜したが見つける事は出来なかった。

疲れきったマリーは静かな中庭に出て、月の光に祈った。

「どうかもう一度、あの人に会わせて下さい。」

すると偶然にもあの仮面の男が、月明かりの中から現れた。

驚いて男に駆け寄ったマリーは

「これ、先ほどあなたが落としたものよ。」

と耳飾りを男に渡した。

男は大いに喜んで

「これは母が残してくれた形見なんです。大切な人との出会いをもたらす石だとか。

もしかしたら私達は運命の相手かもしれませんね。」

と言った。

突然そんな事を言われたマリーは

「からかわないで!」

と男を突っぱねた。

しかし仮面の男もめげずに言った。

「いいえ、これは運命です。次の舞踏会もあなたを探しに来ます。

目印はこの耳飾り。必ず付けて来て下さいね。」

と言って男は、マリーに耳飾りを渡して去って行った。

東の空が微かに明るくなった頃、仮面舞踏会は終わりを迎え、マリーは城に戻った。

マリーは仮面舞踏会の出逢いを忘れられなかった。

自分が名前も顔も知らない男に恋したなど認めたくはなかったが、

人生で初めて感じる幸福な気持ちを抑える事は出来なかった。

 

しかし、仮面の男と再会を約束した前日、マリーは両親から突然、

結婚相手が決まったと告げられてしまう。

嬉しそうに婚約者の似顔絵を見せる両親にマリーは

「私には心に決めたお方がいるのです。」

と告白する。

突然の事に両親は反対したが、耳飾りが導いた出逢いを信じるマリーは、

その反対を押し切り彼に贈る指輪を作る事にした。

指輪には、黒い耳飾りの片方の石をはめ込み、内側には仮面の男に対する想いを刻み込んだ。

 

そして仮面舞踏会当日。

マリーは目印の耳飾りを付け仮面の男を待っていた。

しかしいくら待っても、仮面の男が現れる気配はない。

夜も更けマリーが諦めかけた時、やっと男は現れた。

「あなたは本当にここへ来るつもりだったの?

舞踏会だっていうのに、私に一人で踊れって言うの?」

とマリーは男を責めた。

「遅れて申し訳ありません。もちろん、ここへ来るつもりでした。

実はあなたへの贈り物を用意していたのです。」

と男は言ったが、マリーは素直に喜べなかった。

男に背を向けて歩きだしたマリーだが、心の中では

「どうしてなの?本当は会いたかったのに。どうして素直になれないの?」

と叫んでいた。

「待って下さい!」

呼び止められたマリーは、男の為に作った指輪を握りしめ

刻んだ言葉を見つめた。

"ORIGINALLY YOURS″指輪にはそう刻印してあった。

マリーが“生まれた時からあなたのもの”という意味を指輪に込めたのは、

男との出逢いが特別なものに感じられたからだった。

「ここで素直にならなかったら、一生後悔してしまうかもしれない。ちゃんと伝えなければ。」

そう思ったマリーは、男へ振り返ると仮面を脱ぎ捨て

「私と結婚して下さい!」

と叫んだ。

すると男はふっと笑って、

「まったく。何故私よりも先に言ってしまうのかな。」

と言ってマリーをある場所に案内した。

男がマリーの為に用意したもの、それは昇ったばかりの太陽に照らされて輝いていた。

辺り一面美しい花で満たされた中庭に、マリーと仮面の男は立っていた。

マリーは感動して声も出せずに目の前に広がる景色を見つめていた。

男は黒い仮面を外し、

「僕と結婚して下さい。」

とマリーに言った。

男の素顔を見たマリーは驚いた。

なんと仮面の男は、マリーの婚約相手、あの似顔絵の男だったのだ。

「この石は本当に大切な人との出逢いをもたらしてくれるのね。」

そう言って、マリーは男の指に指輪をはめた。

 

二人はお互いを運命の相手だと信じ、彼と彼女と幸せになりたいと願ったからこそ、

本当に運命の相手となることができたのだ。

 

マリーは昇ってゆく太陽を見つめながら、これからの二人の未来を想像するのであった。

 

 

                                                   おわり

 

 

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